北陸鉄道の石川線(野町―鶴来)と浅野川線(北鉄金沢―内灘)の存続に向け、北鉄と沿線自治体などが申請していた鉄道事業再構築の実施計画が26日、北陸信越運輸局の佐橋真人局長から認定された。同日、金沢市役所で認定書が村山卓・金沢市長ら沿線自治体の首長らに手渡された。
計画では、北鉄が鉄道用地や施設、車両などを所有したまま運行や維持管理を担う一方、施設の整備や修繕費用を県や沿線の金沢、白山、野々市、内灘の4市町が負担する「みなし上下分離方式」を採用する。
計画の期間は来年4月1日~2040年3月末の15年間で、事業費は計222・5億円を見込む。
この間に、利便性向上の施策として、石川線への新型車両の導入(39・5億円)、軌道や駅の改良(72・2億円)、その他の維持・修繕費(27・6億円)、キャッシュレス決済の対応強化(2・6億円)、石川線のダイヤ改定・増便、パーク・アンド・ライドの促進などを進める。
このうち約56・8億円は国からの交付金を活用するほか、県が約28・8億円、金沢市約28・1億円、3市町で約18・8億円、北鉄が約8・7億円を負担する。
北鉄は別途、利便性向上策や担い手不足対策を進め、運行経費として約73億円を負担する。
これらの施策により、鉄道利用者を2023年度の266万1千人から314万1千人に増加させることを見込み、経営の安定化を図るという。
村山市長は認定書を受け取った後、「市民の足の確保や街のにぎわいを保つ上で、公共交通の役割は大きい。使い勝手のいいように再構築していくことが、市民の手で守っていくということにもなる」と語った。
北陸鉄道の宮岸武司社長は「来年は石川線が開業110年、浅野川線が100年を迎える。節目の年に計画を始めることができ、県民に愛され、日常生活を支えていくように、鉄道線の継続に努力したい」と話した。
北陸信越運輸局によると、みなし上下分離方式の活用による鉄道事業の再構築実施計画の認定は、高松市の高松琴平電気鉄道に次いで2例目という。