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北陸新幹線の延伸計画は「千年の愚行」――。金閣寺や清水寺など京都の約1千カ寺が加盟する京都仏教会が2024年末、京都府と京都市に申入書を出し、計画の再考を求めた。なぜ、宗教者が待ったをかけるのか。京都仏教会の常務理事で、聖護院の門主の宮城泰年(たいねん)さん(93)に聞いた。
――再考を求めているのは、なぜですか。
京都市中心部には鴨川が流れ、京都盆地の地下には琵琶湖に匹敵する水がめがあります。信仰に水は欠かせません。延伸に伴うトンネル建設で、京都の水に悪影響が出るのではないか。これを一番心配しています。
――京都にとって水はどれほど重要ですか。
鴨川の水は、日本三大祭りの一つ、祇園祭に不可欠です。八坂神社(京都市東山区)のみこしは鴨川の水で清められた後、京都の街を巡る。祇園祭は清浄な水があってはじめて営まれるのです。
延伸計画のルート案は、鴨川の源流域付近を通るように見えます。そこは北山と言われ、貴船神社や雲ケ畑の古刹(こさつ)の志明院など水に関係する信仰が残っています。京都の人々は、水は北山の神々が与えてくださると昔から信じてきた。このごろの人は水の神様のことを考えませんが、こうした歴史性を無視してはだめだと思いますね。
自然のなかで生かされて
――水への影響のほかはどうですか。
仏教には「山川草木悉有(しつう)仏性」という言葉があります。山も川も草も木も全部、仏の心を持っている。自然そのものが尊ぶべきもので、人間はその自然のなかで生かされているということです。
現行の延伸計画では、京都の北から南まで大穴が開く。大自然によって我々は生かされているのに、それが冒されるかもしれないことに危機を感じます。
延伸の影響は生態系全体に広がりかねません。音に敏感な野鳥は、トンネル工事や地下を通る新幹線の音に反応して、すみつかなくなるかもしれない。便利ささえあったら地球をいくら破壊してもいいとなってはいけません。小さな命が今までと同じように生きていけるように、と思います。
――延伸で北陸と関西の行き来が便利になる点はどう考えていますか。
延伸計画は「千年の愚行」どころか「有史以来の愚行」と宮城さんは指摘します。これまでに京都仏教会が批判した古都税や景観問題も語られます。
北陸の人は関西にもう少し早…