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タンチョウの営巣地付近での風力発電計画に反対する理由を説明する小山内恵子会長=2024年8月6日午前9時33分、北海道苫小牧市役所、松本英仁撮影

 北海道の道央地域で繁殖する国の特別天然記念物タンチョウの見守り活動などを行う市民団体「ネイチャー研究会inむかわ」(小山内恵子会長)が6日、大阪ガスの子会社が苫小牧市と厚真町で計画する風力発電事業の中止を求める署名9503筆を両市町に提出した。計画地内にタンチョウの営巣地があることなどを理由に挙げている。

 事業は同市弁天地区と同町浜厚真地区にまたがる沿岸部に計約3万4千キロワットの発電出力がある風力発電機10基を設置する。研究会によると、発電機は札幌市の「さっぽろテレビ塔」(高さ147.2メートル)に匹敵する大きさという。渡り鳥などは沿岸部を移動することが多く、風車の羽根に衝突死することもある。

 同研究会によると、計画地付近は湿地で、間近にタンチョウの営巣地がある。また、チュウヒやアカモズなど絶滅危惧種の鳥が営巣したり、渡り鳥の飛行ルートになっていたりする。道央地域には少なくとも15羽のタンチョウが生息しているという。小山内会長は「希少な鳥類のえさ場や遊休地に加え、多様な生き物が生息する極めて重要な湿地。いったん開発されると元に戻せない」と訴えた。

 署名は7月下旬までの2カ月間で、オンラインの7302筆を含む9503筆が集まった。(松本英仁)

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