With Ready Orders and an Energy Czar, Trump Plots Pivot to Fossil Fuels

 トランプ次期大統領の政権移行チームがエネルギーおよび環境政策の構想を進める中、米国の大気や水質、気候、公有地の保護を担う政府機関の抜本的な再編成を主導しているのは、閣僚経験と化石燃料関連のロビイストの経歴を持つ2人の経験豊富な人物だ。内部の動きを知る6人の関係者が明らかにした。

 2人の人物とは、第1次トランプ政権で内務長官を務めた元石油ロビイストのデービッド・バーンハート氏と、環境保護局(EPA)長官を務めた元石炭ロビイストのアンドリュー・ウィーラー氏だ。2人とも、今回の任務は熟知している分野だ。ともにワシントン政界のインサイダーで、長年にわたり連邦政府の環境保護施策の撤廃に携わってきた経験を持っている。

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第1次トランプ政権で内務長官を務めたデービッド・バーンハート氏。トランプ次期大統領の政権移行チームの、エネルギーと環境政策部門で重要な役割を果たしている=ニューヨーク・タイムズ

 政権移行チームの関係者らはすでに、気候変動とエネルギーに関する一連の大統領令や大統領布告の草案の準備を完了している。その中には、米国の「パリ協定」(地球温暖化対策の国際ルール)からの脱退や、貧しい地域に不均衡に影響を及ぼす公害の解消に取り組んでいる全政府部門と関連部署の廃止、米西部の国定記念物[national monuments](訳注:国定公園も含まれる)の範囲縮小による公有地での掘削や採掘の拡大などが含まれている。

 バイデン大統領は、「環境正義[environmental justice]」を最優先事項とし、社会的、経済的に取り残された地域社会[underserved communities]がクリーンエネルギー開発によって生み出される経済的利益(訳注:エネルギー、関連投資、雇用など)の少なくとも40%を享受できるよう取り組んできた。(次期トランプ政権の環境)計画に詳しい関係者らによると、こうした取り組みは廃止される予定だ。この動きは、トランプ氏の同志たちが「woke(社会正義を過度に強調する人々)」による構想と見なす取り組みや、経済の改善に役立たないあらゆる計画の撤廃を目指す、より大きな活動の一環だという。

 米ユタ州南部にある国定記念物「ベアーズ・イヤーズ」と「グランド・ステアケース・エスカランテ」の境界線は直ちに再設定される予定だ。トランプ氏が2017年に、複数の先住民族[Native tribes]にとって神聖な土地とされる数十万エーカーの土地を採掘やその他の開発に開放した際の区画変更を反映させるという。バイデン大統領は21年に、これらの保護区域を拡大していた。

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

トランプ氏は、各州が連邦より厳しい環境基準を定める「上乗せ規制」をやめさせるようです。また、政府の各部門間の調整役として、エネルギー政策の「最高責任者」を置く予定だと、NYTは報じています。

 トランプ氏はまた、天然ガス…

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