最高裁裁判所=東京都千代田区

 労働者の病気やけがを、国が労災と認定した際、事業主が不服を申し立てられるかが争われている訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(堺徹裁判長)は10日、当事者双方の意見を聞く弁論を開いた。国側が「事業主の不服申し立てを認めれば労働者の保護を著しく損なう」と主張して結審した。判決期日は7月4日午後3時に指定された。

  • 【用語解説】最高裁での「弁論」とは なんでニュースになるの?

 この論点で最高裁が判断を示すのは初めて。最高裁の弁論は二審の判断を変えるのに必要な手続きで、事業主は不服申し立てができるとした二審・東京高裁の判断が見直される可能性がある。

 労災が認定されると、労働者に賃金の一定割合や治療費などが国から支給される。一方、労災保険の「メリット制」と呼ばれる仕組みで、従業員が労災認定されると事業主が払う保険料が増える場合がある。事業主側は認定に不服を言えないとされてきた。

二審判決後に運用変更

 今回の訴訟では、一般財団法…

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