加熱式のたばこを吸っている人は吸わない人と比べ、高血圧と診断されるリスクが高いとする研究結果を、産業医らでつくるグループが論文発表した。メーカー側は加熱式たばこについて「有害性は紙巻きたばこより大幅に低い」としているが、グループは「高血圧の予防に関して、加熱式は紙巻きよりリスクが低いとは言えない」と結論づけている。
加熱式たばこは、たばこの葉を燃焼させずに熱し、発生する蒸気を吸う製品。蒸気にはニコチンなどの成分が含まれるが、燃焼に伴う煙が出ないことから、メーカーのフィリップモリスジャパンはサイトで「紙巻きたばこと比べて発生する有害性成分の量は大幅に少なくなります」としている。
研究は、国内の電気機械メーカーに勤め、高血圧ではない約3万人(男性約8割、平均年齢42.9歳)の健康診断データを用いて実施。たばこを吸う習慣のほか、血圧に関わる食や運動の習慣などについて尋ね、その後を平均2.6年間追跡した。
追跡期間中、新たに約3700人が「収縮期血圧140以上、拡張期血圧90以上、降圧剤を使用」のいずれかに該当する「高血圧」と診断された。
解析の結果、たばこを吸ったことがない人が追跡期間中に高血圧と診断されるリスクを1とすると、たばこを吸っていて高血圧と診断されるリスクは紙巻きたばこで1.26、加熱式で1.19と、いずれも吸わない人よりも高かった。
この解析では、年齢、アルコールや高塩分食品の摂取状況、運動習慣などが結果に影響しないよう統計学的に調整した。割合の数値は加熱式のほうが紙巻きよりも若干小さいが、科学的には意味のある差ではないという。
また、加熱式、紙巻きのいず…