昭和20~30年代に浦和で晩年を過ごし、数々の作品を残した前衛芸術家の瑛九。今年1月、死後60年以上残っていたそのアトリエが取り壊された。瑛九の功績を残そうと、惜しんだ芸術家たちが「瑛九へのオマージュ展」をさいたま市浦和区の柳沢画廊で開いている。24日まで。
瑛九は1911(明治44)年、宮崎県に生まれた。52(昭和27)年に現在のさいたま市浦和区のアトリエに移り、60(同35)年に亡くなるまで、油絵や版画、写真などの様々な技法を用いた作品を数多く残した。自由な美術教育を目的とした「創造美育運動」、美術作品の普及のための「よい絵を安く売る会」などの幅広い活動でも知られた。
浦和駅から歩いて15分ほどの閑静な住宅街にあったアトリエは、写真家の奈良原一高(1931~2020)や芸術家の靉嘔(あいおう)(93)、芥川賞作家で画家の池田満寿夫(1934~97)など、瑛九を慕う若手が集い議論を交わしたことから「瑛九のサロン」とも呼ばれた。
■シンポジウムや見学会で存続…