日本のアイドル史を語る上で外せないグループ「AKB48」は、握手会や選抜総選挙で世間の話題をさらった。「推しメン」という言葉が流行語にもなり、現代の「推し活」が広まるきっかけとなったとも言われる。2025年にグループの誕生から20年となるのを機に、「絶対的エース」と称された前田敦子さん(33)は「推し」とファンとの関係をどう見ていたのか聞いた。

AKB48を卒業後、俳優・タレントとして活躍する前田敦子さん=所属事務所提供

AKB48が変えた推しとファン

 ――「会いに行けるアイドル」とうたっていたAKB48は、アイドルとファンの関係性も変えたと言われています。AKB48って特殊だったでしょうか。

 どういう人が応援してくれているのかなって想像するまでもなくて、ファンの方の顔も名前もわかるんです。劇場でとっても近い距離で私のことを全力で推してくれているわけで、それはすごく自信になりました。

 ファンの方との間の相乗効果のようなものがあると感じましたし、AKBはそういう近い距離感を健康的につくれたグループでした。

 今も何かのタイミングで「久しぶりー」って当時のファンの方とお話をする機会があります。「今も地下アイドルの子を応援しているんだ」「ああ、新しい子見つけたんだね」なんて会話をすることも喜びの一つです。

 ――ファンが違う推しを見つける「推し変」って、アイドルからすると嫌な気持ちになるものなのでしょうか。

 私はぜんぜん。AKB時代も、それこそ最初のころから応援してくださっていた方が、私が売れると「僕たちの手は離れたよね。あの新人の子に応援に行っていい?」なんて言われることがあります。

 でも、その後も別の機会で私に会うと話しかけてくれて「おかえり」なんて話して。そういうあたたかい距離感でファンの方と関われたのはAKBならではですよね。今は役者をやっていてそういう風にファンの方と関われる機会が少ないのはもどかしいです。

一大ブームを巻き起こしたAKB48は、2025年で誕生20年となります。かつてその中心的存在だった前田敦子さんは、ファンとの関係をどう見ていたのか聞きました。記事の後半では、前田さんのアイドル論や自身がはまっている推し活、そして「推し疲れ」の人へのアドバイスについても語っています。

 ――選抜総選挙のように、ファンからの支持がはっきりと目に見えるかたちであったのは励みになりましたか。

 選抜総選挙にはつらいことも…

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