被害者の友人や支援者らが事故現場で手を合わせた=2024年6月28日午後2時5分、大分県別府市野口原、大村久撮影
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 大分県別府市で2022年6月に起きた死亡ひき逃げ事件が29日で発生から2年を迎える。亡くなった大学生の友人らが28日、事故現場で手をあわせ冥福を祈った。県警は、道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で重要指名手配中の八田與一(よいち)容疑者(27)の現在の風貌(ふうぼう)を予想した似顔絵を公開し、情報提供を呼びかけている。

 事件は22年6月29日午後7時45分ごろ、別府市野口原の県道交差点で信号待ちをしていたバイク2台が軽乗用車に追突され、当時19歳の大学生1人が死亡、もう1人がけがを負った。事故現場にブレーキ痕はなく、指定速度の40キロを大幅に超える速度で衝突したとみられる。県警は、八田容疑者が何らかのトラブルが原因で軽乗用車を故意に衝突させた疑いもあるとみて捜査している。警察庁は、23年9月に重要指名手配に指定した。

 友人や遺族らでつくる「大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会」(別府願う会)のメンバーらは28日、別府署を訪れ、八田容疑者の罪名をひき逃げ(公訴時効7年)から時効がない殺人などに切り替えて捜査するよう求める約7万7500筆の署名を提出した。県警の担当者は、「あらゆる可能性を視野に入れ、総力を挙げて被疑者の確保と真相解明に全力で取り組みます」とコメントした。

 亡くなった大学生と同じ寮に住んでいたという友人は「彼はムードメーカーでおもしろい友だちだった」と振り返り、「事件を受け入れられなかった。彼は亡くなったんじゃなくて殺されたとみんな思っている。彼がいない喪失感が強い」と話した。

 その後、メンバーらは別府市役所に向かい、長野恭紘市長に情報提供を求めるカードの配布協力などを求めた。カードには八田容疑者の顔などの特徴が印刷され、QRコードで八田容疑者の声を聞くことができる。長野市長は「逮捕につながる情報の発信や収集など協力したい。関心を持って風化させない」と話した。

 一方、県警が28日に公開した似顔絵は6枚。長髪やひげ、メガネの特徴を加えたという。県警と別府願う会は、29日にこれらの似顔絵が入ったチラシを東京都や大阪府、福岡市などで配って情報提供を呼びかける。

 事件をめぐり、今年5月末までに県警に寄せられた情報件数は5444件。そのうち、似ているという人物の目撃情報が5063件で県内が403件、関東1962件、九州668件、近畿627件、その他の地域が917件、インターネットなどで486件となっている。情報は別府署(0977・21・2131)へ。(大村久)

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