初代門司駅関連遺構の追加調査の現地説明会。出土した基礎やれんが跡などが公開された=2024年10月19日午後1時17分、北九州市門司区、興津洋樹撮影

 北九州市門司区の複合公共施設建設予定地で見つかった「初代門司駅」関連遺構をめぐり、追加の発掘調査を進めている市が19日、現地説明会を開いた。市は調査後に遺構を解体する方針だが、参加者からは保存を求める声が相次いだ。

 昨年、機関車庫の基礎や初代駅舎外郭とみられる石垣などが出土した遺構について、市はさらなる調査が必要だとして、8月下旬から周辺の追加調査を実施。説明会では新たに発掘された明治、大正期の荷物上屋や倉庫のものとみられる基礎、西洋の技術を使用したとみられる「布基礎」などが公開され、市民ら約250人が参加した。

 楠本祐子・文化企画課長は「(出土物は)想定の範囲内のもの」と説明。市は11月中に調査を終えて、公共施設建設に着手するために取り壊す方針だ。同区の馬場久典さん(67)は「公園や床をガラス張りにするなどして残せないか、一度立ち止まって考えてほしい」と話した。

 遺構を巡っては、ユネスコの諮問機関イコモスが現地保存を求める「ヘリテージアラート」を出している。国内組織の副委員長、溝口孝司・九州大教授(考古学)も説明会に参加し、「新たに出土した構造物は、明らかに未調査の地区に続いている。さらなる発掘が必要だ」と指摘した。

 現地近くでは同日、市民団体が意見交換会を開き、遺構の価値や施設との共存について意見を交わした。(興津洋樹)

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