北九州市は21日、市有地で昨年9月以降に出土した明治期の「初代門司駅」関連遺構(同市門司区)について、一部を現地で保存する方針を明らかにした。新たな公共施設を建設するため遺構全体を取り壊す計画だったが、保存を求める声などを受けて方針転換した。
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同日会見した武内和久市長が「市として最大限何ができるか考え、悩みながら検討した結果」として明らかにした。
現地保存するのは、初代門司駅に付随していた「機関車庫」の基礎部分の一部。公共施設を建てる際の杭打ちなどに影響せず、施設の設計変更も必要ない部分だという。埋め戻して施設の下に残すため、施設建設後に見学することはできない。
また、基礎部分の別の一部は、いったん取り出した後、新施設の床下部分に設置し直して展示する。新施設の1階の床の一部をガラス張りにして、訪れた人が見られるようにする方針だ。
いったん取り出す部分は、もともと海岸線だった場所を埋め立てるなどして基礎を築いた場所で、江戸時代から受け継がれる日本の土木技術と西洋の土木技術が用いられた部分とされる。市は写真やデジタルデータで遺構の記録を保存し、デジタルを活用した展示コーナーも設けるという。
関連遺構としてはこのほか、駅舎本体を囲むL字形の石垣(17.5メートル×3.2メートル)などが良好な状態で出土し、確認されているが、この石垣を含めた大部分は取り壊す方針だ。
「市単体で考えないで」協議求める声
市の担当者は「一部保存や取…