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地震と火山の研究環境の比較

 4月施行の改正活火山法で新たに制定された「火山防災の日」を26日に迎えた。政府は4月に文部科学省に「火山調査研究推進本部」(火山本部)を発足させ、観測と研究を強化するものの、先行する地震研究と比べ、政府予算は約4分の1、研究者数は約6割にとどまり、「約30年遅れ」とも言われる。

 国内には北海道から沖縄県まで111の活火山があり、地球上の約1割が密集する世界有数の火山国だ。2014年9月には死者・行方不明者63人を出し、戦後最悪の火山災害となった御嶽山(おんたけさん)(長野県、岐阜県)の噴火もあったが、他の災害に比べ関心が低い。そこで、国内初の火山観測所が1911年に浅間山(群馬県、長野県)に設置された日を、政府は今年から火山災害に備えるきっかけとする「火山防災の日」と定めた。

 ただ、足元の研究体制は弱い。文科省によると、2022年度の地震研究の関連予算は総額111億円だが、火山研究は30億円。過去28年分を合計しても、火山(7804億円)は地震(6兆610億円)の10分の1程度にとどまる。火山災害は地震などと比べて発生頻度が少なく、研究成果を上げにくいことが背景にある。

 人材面も厳しい。22年度時点で国内の地震学者は320人、区分の難しい287人を除けば、火山学者は185人と半分ほど。活火山の監視に携わる研究者に限ると、117人に減り、国内の111の活火山を監視するには「十分ではない」(同省)。研究者の高齢化も進む。

若手育成急ぐが「道半ば」

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