通称「トミー・ジョン手術」と呼ばれる、ひじの内側側副靱帯(じんたい)の再建手術が初めて行われたのは1974年9月でした。今月でちょうど半世紀ですので、投手の肩ひじのけがについて考えたいと思います。

 ドジャースのエースだったトミー・ジョン投手が、米ロサンゼルスの整形外科医だったフランク・ジョーブ博士(故人)から、ひじに腱(けん)を移植する手術を受けたのが最初です。彼は1年間のリハビリを経て復活し、手術後は14シーズンで164勝。46歳で引退するまでに288勝を挙げました。その後、日本のプロ野球でも元ロッテの村田兆治さん(故人)らも同じようにメスを入れ、知られるようになりました。

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 私自身は現役時代、肩ひじに複雑な手術をするのは嫌でした。そんな風潮がまだ残っていた時代です。エンゼルスでプレーしていた2001年に右肩を痛めたとき、権威のあるチームドクターに相談したら「治る確率は高くない」と。なので、手術は避け、リハビリで対応して投げ続けました。

 痛みを感じることもありまし…

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