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天降川のほとりに立つシジュウカラガン=2024年8月15日午前10時54分、鹿児島県霧島市、全日写連・二宮忠信さん撮影
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 冬の渡り鳥シジュウカラガンがこの夏、鹿児島県内で目撃された。主な越冬地の東北地方から遠く離れているだけでなく、繁殖地の千島列島などとは逆の方向。通常では考えられない動きに、愛鳥家はそろって首をかしげている。

 シジュウカラガンは黒い首と白いほおが目立つ小型のガン。首輪のような白いリング状の模様が特徴で、体はマガモよりひと回り大きい程度。千島列島やアリューシャン列島で夏に繁殖し、日本に渡って宮城県などで越冬する。

 日本野鳥の会かごしま県支部の小園卓馬さん(70)によると、鹿児島のシジュウカラガンは、8月7日に鹿児島市の永田川で最初に目撃された。翌日から姿が見えなくなったが、14日に霧島市の天降川で見つかった。少なくとも8月末までは目撃されている。この時期に複数いるとは考えにくいため、同一個体ではないかとみている。

 「40年以上野鳥を観察してきたが、自分で見たのは今回が初めて。なぜ鹿児島に来たのか、これからどうなるのか、非常に興味深い」と話す。県内では2017年5月に出水市で目撃された記録が1例あるだけという。

 シジュウカラガンの保護に長年尽力してきた「日本雁を保護する会」(宮城県栗原市)の呉地正行会長も、この動きは謎だという。「日本へ渡ってくるときに本来の越冬地でない場所に行くことはあるが、今回は時期が違う。日本のどこかで夏まで過ごしていたと考えられるが、どこからどうやって鹿児島に来たのかは、鳥に聞かないとわからない」(安田朋起)

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