千葉市ゆかりの大賀ハスの題材にしたNerhol「Nelumbo nucifera」(2024年)の展示

 足で描く故・白髪一雄さん、糸を張り巡らせる塩田千春さん。独自の手法を編み出した作家は、それ自体が強みとなる。グラフィックデザイナー・田中義久さん(44)と彫刻家・飯田竜太さん(43)による「Nerhol(ネルホル)」もその系譜にある。美術館では初の個展でも強みが生きている。

 彼らの手法は、動画や写真のコマ送り的な多数の画像を印刷し、その紙を重ねてカッターや研削盤で彫り込むというもの。等高線的な凹凸のある半立体となり、異なる瞬間の画像が連なり、ゆがむ。2012年に発表した出世作では、静止しているはずの人物を撮影した200枚を重ね、顔の微妙な動きが表れた。

 本やポスターを手がけるデザイナーと、本をモノとして彫る彫刻家。「紙を扱う2人が対話から作品を生み出す」と田中さん。紙に対する考えの違う2人が案を練り、紙を彫るから、ネルホルなのだ。

 その結果、静止した半立体な…

共有
Exit mobile version