
青森県東通村と東北電力は4日、4月に一般社団法人「ひがしどおり共生パートナーズ」を設立することで合意し、発表した。東北電が2025年度から5年間で17・5億円を同法人に拠出。村は防災対策や子育て、福祉対策などに活用する。同村の東北電・東通原発1号機の再稼働が14年以上滞り、地域経済が落ち込む中、電力会社が地域振興策を打ち出した形だ。
同原発は11年の原発事故後に導入された新規制基準に基づく安全対策工事の完了が遅れ、定期検査入りした11年2月以降、稼働していない。経済産業省資源エネルギー庁によると、同年に約260億円だった村内総生産額は12年以降、約200億円に落ち込んだままで、村は東北電などに立地地域との「共生・共創」を求めていた。
資金は村と東北電が拠出する計画だが、向こう5年間の17・5億円分は同社が拠出する。設立は4月上旬を見込む。事業の内容は、防災対策の強化▽教育・子育て▽健康・福祉▽地域経済――などで、村が抱える課題の解決をめざすという。
村では東京電力ホールディングスも原発を建設中。村と同社は21年、地方創生を目的に一般社団法人「東通みらい共創協議会」を設立し、同社が5年間で最大で30億円を拠出する計画があり、この「前例」に続く形となった。