記者会見する斎藤元彦兵庫県知事=兵庫県庁、高木智也撮影

 斎藤元彦・兵庫県知事や県幹部を批判する文書を作成し、報道機関や県議らに配布した元西播磨県民局長(60)を、県が停職3カ月の懲戒処分としたことについて、斎藤知事は8日の定例記者会見で「今回の対応は適切なものだと考えている」と述べた。県人事課の調査についても「客観的な調査が実施された」として、第三者委員会の設置に否定的な考えを示した。

 3月に配布された文書では、昨年8月に知事らが、視察に訪れた加西市の家電メーカーから高級コーヒーメーカーを受け取ったなどと記されていた。調査の結果、県は「核心的な部分が事実ではない」とし、誹謗(ひぼう)中傷と認定した。

 この日の定例会見で知事は報道陣から調査の客観性について問われた。

 知事は人事課の調査について、「弁護士の意見も聞きながら客観的な調査が実施された」とした。

 また、懲戒処分を受けた元県民局長は、人事課の調査の開始後、県に設置された公益通報制度を利用しており、同制度による調査が今後実施される。その調査については「(弁護士や公認会計士らで構成された)公益通報委員会があり、一定の第三者性は担保できている」と述べた。

 一方、公益通報制度の窓口が県庁内にあることについて問われると、通報窓口について「今回の事案を踏まえ、外部に設置することは今後の検討課題」とした。

 さらに今回、文書で指摘されていたコーヒーメーカーの授受については、知事視察に同行した県産業労働部長(55)が一時は受け取り、半年以上経って返却していたことがわかっており、同部長は訓告を受けた。

 その処分については元県民局長の懲戒処分との差を問われた知事は「それぞれの非違行為について懲戒処分の指針、過去の処分の事例を踏まえて決定したもの。今回の対応については適切なものだと考えている」と述べた。

 加えて、県職員の贈答品の受け取りについて「これから取り扱いに関するルールを整備することで、適正に対応していくことが大事」との見解を示した。

 知事は3月に「事実無根の内容が多々含まれ、職員の信用失墜や名誉毀損(きそん)など法的課題がある」などとしていたが、この日の会見では、「懲戒処分の内容が決定され、真実でないことが示された。現時点で告訴などについては考えていない」と述べた。(高木智也)

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