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宮城県北の地域医療を担う大崎市民病院=2024年7月30日、宮城県大崎市古川穂波3丁目、中島嘉克撮影

 時間外手当の計算を誤っていたことで、残業代の未払いが発生するケースが自治体病院で相次いでいる。宮城県大崎市の大崎市民病院で公になったことをきっかけに、栗原市立の3病院や大分県立病院でも判明した。背景に何があるのか。

 「本気ですかって労働基準監督署に聞きに行きましたよ。病院が潰れてもいいんですか、それが労基署のやることですかって」。昨年11月、朝日新聞の取材に応じた大崎市民病院の並木健二・病院事業管理者は「悪いのは我々」と言いつつ、戸惑いを隠さなかった。

 大崎市民病院は2023年2月、残業代の未払いがあるとして古川労基署から是正勧告を受けた。医師確保のために若手に手厚く支給する「初任給調整手当」など複数の手当について、時間外手当を計算する際の基礎賃金から外したことが原因。病院が積算すると、未払いとされた金額は20年3月以降で10億円を超えた。

 病院側が戸惑うのには、ワケ…

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