迷走していた自民、公明両党による政治資金規正法改正をめぐる協議がやっと決着した。自民案に妥協する形で賛成方針を固めた公明は、裏金事件による政治不信に改めて直面し、態度を硬化させた。公明の賛同を得られなければ、自らの政治責任に直結しかねないと考えた岸田文雄首相は自民党内の強い異論を押し切って党首会談に臨んだ。
31日午前10時半、首相官邸。首相と公明の山口那津男代表の会談の場は報道陣でごった返していた。与党党首会談は普段は非公開。異例の公開となったこの日、2人は握手を交わし、連立関係の良好さをアピールした形だが、首相の表情はどこか硬かった。それは当然だった。2021年秋の首相就任以来、最大の後見役を担ってきた麻生太郎副総裁の反対を押し切ってまで臨んだトップ会談だからだ。
報道陣の退出後、首相は自公間で最後まで折り合えていなかった政治資金パーティー券購入者の公開基準額について山口氏にこう切り出した。「5万円超に修正します」。現行の20万円超から10万円超に引き下げる自民案を取り下げ、公明の主張通りに譲歩する姿勢を見せた。しかし、その代償は大きい。
約30分の会談を終えた山口…