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武蔵野東小学校を運営する学校法人・武蔵野東学園=2024年4月、東京都武蔵野市

 東京都武蔵野市の私立武蔵野東小学校が、教室に防犯カメラを設置し、保護者の指摘を受けて撤去の方針を決めたことが、学校側や学校関係者への取材で分かった。教室では児童が毎日着替えをしており、性被害を懸念する保護者もいた。

 学校側は、教室内のカメラはすでに稼働を停止したとしている。

学園「録画された映像も全て消去」

 複数の同校関係者によると、昨秋ごろから、校内の教室、廊下、特別教室、グラウンドなどに計数十台が設置された。11月中旬、学校から保護者宛てに「お子様の安全確保のために、防犯カメラを各教室にも設置しました」という案内があったという。

 同校関係者によると、同校の児童は校内では体操服で過ごすため、登校後と下校前に教室内で着替える。このため、一部の保護者が学校に「着替えも撮影されているのではないか」などと指摘したという。取材に対し、警察に相談したと話す保護者もいた。

 同校は11月下旬、再び保護者向けに案内を出し、映像はモニターに常時表示されない▽教職員は事務長、校長の許可なく録画確認はできない▽着替え時は電源を切る――などと説明した。

教職員「子どもたち守れるか不安」

 ただ、教職員の一人は取材に対し、遅刻や早退など不測の事態で通常と違う時間に着替える日もあるなどと説明。「なぜカメラが必要なのか、いつ誰が電源を切っているのか、臨機応変に対応できるのか、教職員にも説明がない。子どもたちを守れるか不安だ」と話した。保護者の一人は「狙いや経緯の説明が不十分なまま、突然カメラがつけられた。親としては転校を考えるぐらい心配」と話した。

 運営する学校法人「武蔵野東学園」は取材に対し、代理人弁護士が今月19日に文書で「学園の庁舎管理に関する事柄であるのでお答えは差し控えます」と回答した。同じ文書には「保護者からの指摘を受け、教室内のカメラは既に稼働を停止しており、近日中に撤去し、録画された映像も厳重に管理しておりましたが、全て消去いたしました」とも書かれていた。

 教室内のカメラ設置について、私立学校を所管する都私学行政課の担当者は、一般論として、「いろんなケースや事情があり、一律のルールはない」としつつ、「保護者から不安の声があるのであれば、学校が説明し、理解を得ていくべきだ」と話した。

 同学園は1964年創立。自閉症の子とそうでない子がともに学ぶ「混合教育」で知られ、幼稚園、小・中学校、高等専修学校を設置している。

 学園のウェブサイトによると、小学校の児童数は553人で、うち自閉症児は179人(昨年5月1日時点)。

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