早大の山縣秀=2024年10月

 早大の遊撃手、山縣秀は東京六大学リーグ随一の守備力の持ち主だ。

 4年春のリーグ戦では7季ぶりの優勝に貢献。ドラフト1位指名が確実視される明大の遊撃手、宗山塁が負傷で5試合の出場にとどまったものの、ベストナインに輝いた。

 早大の付属校の早大学院出身。甲子園の出場経験はないが、大学で名手に成長した。「プロ野球選手は小さい頃からの夢」と、24日のドラフト会議で吉報を待っている。

 10月19日にあった秋季リーグの明大1回戦。とっさの判断力でチームを救った。

 九回表、明大に1点差に詰め寄られ、なおも1死一、二塁のピンチだった。一ゴロが飛ぶと、山縣は二塁を封殺するためベースカバーに入り、受けたボールをためらいなく三塁へ転送。飛び出した走者を刺した。

 変則のダブルプレーで試合を終わらせると、歓喜の輪に迎えられた。

 機転を利かせた山縣は「投手の(一塁への)ベースカバーが遅れていたのが見えて、一塁は無理だと思ってサードに投げました」。小宮山監督も「準備していないとできないプレー」と賛辞を送った。

 21日の明大3回戦でも、九回の守りで左翼ライン際の飛球をダイビングキャッチ。ここぞの美技で早大に勝ち点をもたらした。

高校最後の夏は大会中止「野球続けるつもり無かった」

 レギュラーに定着した22年秋からの5季で、失策はわずか4。今季はまだ無失策だ。ゴロの捕球や送球の精度、速さ――。大学野球界ではどれも屈指のレベルと評価され、大学日本代表に選ばれた。

 守備への意識が芽生えたのは…

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