農林水産省が、凶作時以外にも備蓄米を放出できるようにすると表明してから2週間で、実際に放出することになった。「口先介入」で済まなくなったのは、表明後も米価が高止まりし続けたからだ。石破茂首相からも早期実施を迫られ、農水省はようやく重い腰をあげることになった。
「こんなに早く備蓄米を放出することになるとは思っていなかった」。江藤拓農林水産相が備蓄米の放出を表明した7日、農水省のある幹部はこう話した。
農水省は1月24日、これまで頑なに凶作時にしか放出しないとしていた備蓄米の運用を見直し、流通の混乱時にも活用する新たな制度をもうける方針を公表した。
当時は、更なる値上がりを期待して「売り渋る」農家や流通業者に対し、方針を打ち出すことによって在庫の放出を促すのが狙いだった。
実際に放出するのではなく、時間をかけて「口先介入」の効果を見極める考えで、農水省関係者は、「(農水省と農家や流通業者との)チキンレースが始まった」と話した。
農水省は、自民党農水族の支持基盤である農家を優先する傾向が強い。実際に備蓄米を放出すれば、米価が大きく下落し、農家の反発を招く可能性があるからだ。
にもかかわらず、農水省が2週間もの短期間で放出に追い込まれたのは、二つの理由がある。
まず、期待していた「口先介…