大阪地裁・高裁が入る庁舎=大阪市北区

 健康診断で胸部X線検査の結果を「異常なし」と誤って通知され、肺がんの発覚が遅れて再発もしたとして、大阪府内の50代の女性が大阪市内の医療法人に約4200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(大森直哉裁判長)は25日、法人側に約440万円の賠償を命じた。正しく伝えていれば再発を防げる「相当程度の可能性があった」と判断した。

 判決によると、女性は2016年9月、勤務先の健康診断で医療法人が運営する健診センターを受診。胸部X線検査で「異常なし」とされたが、翌年は同じ検査で「精密検査が必要」とされたため病院を受診したところ、肺がんと診断された。放射線治療は受けたものの、約9カ月後に再発した。

 判決は、センターは16年の健診直後の「二次読影」で異常を見つけていたにもかかわらず、更新前の結果を誤って女性に伝えたと認定。法人側は「正しい健診結果を報告すべき義務を怠った」とした。

 その上で、正しく通知していればもっと早く医療機関を受診して「少なくとも経過観察を受けていた可能性が高い」と指摘。「手術から5年後も少なくとも再発のないままの可能性はあった」と判断し、「精神的苦痛」に対する慰謝料の支払いを命じた。

共有
Exit mobile version