大企業の会社員らが入る健康保険組合の2023年度収支は、全体で1367億円の赤字見込みとなった。赤字は2年ぶりで、赤字幅が1千億円を超えるのは10年ぶり。高齢者医療費への拠出や薬剤の高額化などで保険財政は厳しさを増している。
健康保険組合連合会(健保連)が3日、全国の組合の収支見込みを公表した。
赤字見込みは全国1380組合のうち52.6%にあたる726組合で、半数超となった。賃上げや保険料率の引き上げなどで保険料収入が前年度決算比で2.7%伸びた一方、支出も75歳以上の後期高齢者向けの拠出金が同9.6%増えるなどした。前年度にコロナ禍の受診控えで拠出金が一時的に減っていた反動もみられる。ただ「団塊の世代」が後期高齢者となっていることから今後も拠出額は伸び続けそうだ。
薬剤の高額化も財政に影響を与えている。健保連が全国の健保組合の診療報酬明細書(レセプト)を分析したところ、患者1人あたり1カ月の医療費が1千万円以上の件数は、23年1月~24年1月に2156件で、前年度から約2割増えて過去最多だった。1回の使用で1億6千万円を超える難病治療薬「ゾルゲンスマ」の使用は14件あった。
高額な医療費がかかった場合…