開会式で整列した32チームの選手たち=2024年8月24日午前8時55分、松山市の大街道商店街、戸田拓撮影

 【愛媛】高校生が磨き抜いた17音の表現を競う「第27回俳句甲子園全国大会」予選会が24日、松山市の大街道商店街の特設会場で開かれた。大勢の観客が20都道府県の32チームの言葉の妙技を楽しんだ。

 大会は23日に松山大であった組み合わせ抽選会で開幕した。予選リーグのお題・兼題は「ハンカチ」「翡翠(かわせみ)」「メロン」、勝ち上がった8チームのトーナメントの兼題は「暑し」。8カ所の対戦会場では、俳句愛好家や観光客らが勝負の行方を見守った。

 開成(東京)在学中に3年連続出場し、第11回大会(2008年)で「それぞれに花火を待つてゐる呼吸」が最優秀句に選ばれた俳人の村越敦さん(33)は妻里織さん(35)と都内から訪れた。郷里の多摩川花火大会の印象に基づき、「打ち上げ前の人々の息遣い、にぎやかながら静謐(せいひつ)な、張り詰めた雰囲気」を念頭に詠んだ句だという。

 観戦した中で、灘(兵庫)の「街灯は雨に育たずメロンの香」を「叙情を排し、人工的景色に生きる等身大の高校生を表現。ポップさも感じる」と称賛した。洗足学園中高(神奈川)が発表した「雫(しずく)呑(の)むたび翡翠の蒼(あお)の濃く」「つやめきを乱し翡翠魚を摘む」も、「カワセミの生命感、水辺の澄んだ自然をうまく切り取っている」と評価。「俳句甲子園で育った世代が後進を導き、高校生の俳句の技術は年々向上している。ただ、今の彼らと彼女らにしかできない感慨の表出も大事にしてほしい」と語った。

 審査の結果、海城、開成(以上東京)、名古屋A(愛知)、興南A(沖縄)の4チームが勝ち抜いた。25日は市総合コミュニティセンターで決勝リーグと決勝戦。敗者復活2チームを含めた計6チームが日本一を争う。(戸田拓)

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