中国内モンゴル自治区オルドス市のジュンガル旗実験中学では2024年4月初め、1、2年生の教室の入り口に懸垂ができる器具を設置した=写真・新華社。デザイン・郭溢

 中国の受験をめぐる強烈な競争は、習近平(シーチンピン)政権の政策によってさらに奇妙な展開を見せている面がある。

 「双減」

 2021年に家庭の負担を減らすとして打ち出された政策だ。宿題を減らすとともに、学習塾を規制することの二つをねらった。影響は大きく、全国的な学習塾の閉鎖ラッシュを招いた。

【連載】新語・流行語から探る中国

受験や結婚といった人生の転機や、経済やライフスタイルの変化を、中国の人びとはワンフレーズの漢字で巧みに表現しています。そんな新語・流行語が映し出す、中国社会のいまを読み解きます。

  • 【連載の狙いは】バズワードが映す社会の曲がり角

 理想は高い。今年1月に共産党と政府が打ち出した「教育強国を建設する計画の要綱」は、「双減と教育の質の向上を統一的にはかる」とした。学校の役割を重視して困難を抱える子への補習を充実させる一方、繰り返しの宿題や日常的なテストの頻度を下げるとした。小中学生の毎日の体育活動を「2時間以上」に引き上げることまで盛り込まれた。

 だが、どのみち競争は続くという現実の前に、足元でそうした理想は早くもかすみつつある。

 「勉強させない」ことが政権…

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