72年間の歴史に幕を下ろす小林書店。5月31日の最終日は店内に紅白の幕を張り、祝い酒を振る舞う=兵庫県尼崎市立花町2丁目
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 兵庫県尼崎市のJR立花駅前から延びる商店街の外れに、戦後間もなく開店した小さな書店がある。カフェがあるわけでも、おしゃれな文具が並ぶわけでもない。そこへ、遠く東京や福岡からも客がやってくる。映画や小説にもなった。名物店主が営むそんな伝説の本屋が、今月末で店をたたむ。

 青いひさしに「小林書店」と書かれた店は、1952年に創業した。わずか10坪の店内に雑誌や書籍の新刊が並ぶ。

 営むのは、店主の小林由美子さん(75)と夫の昌弘さん(79)。両親が始めたこの店を由美子さんが継いだのは79年のことだ。会社で知り合った昌弘さんと職場結婚し、後を継ぐ気はなかったが、昌弘さんの転勤辞令を機に、2人で店を営むことを決めた。

 店には由美子さんの売りたい本を並べた。それは、「生きる希望の持てる本。悲しいこと、つらいことがあったとき、人生は生きるに値すると思える本やね」。

愛称は「コバショ」

 手書きの紹介文を添えたり…

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