「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録をアピールするイベント=2024年12月6日、JR宇都宮駅、津布楽洋一撮影

 「伝統的酒造り」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録され、栃木県内の酒蔵でつくる「県酒蔵酔って見っけ協議会」が日本酒の消費拡大へPR活動をしている。

 登録決定が報じられた翌日の6日夕、JR宇都宮駅のコンコースに県内の酒蔵の名前が入った法被姿の人たちが勢ぞろいした。登録祝いと認知度アップを目指した広報活動だ。「おかげさまで日本の伝統的酒造りがユネスコの文化遺産に登録されました。きょうは登録を記念してPRをしております」

 「シャンパンとイチゴが合うと言われるけれど、栃木なら新酒とイチゴです」。酒蔵の人が新たな組み合わせを提案した。試飲と即売のコーナーでは、酒を買い求める客の姿が目立った。

 同協議会は、日光市、那須烏山市、益子町の四つの酒蔵が協力し、イベントを開くなどしてきた。海外のイベントなどに1社が行けば、協議会として4社を宣伝してくるという。

 相談や決定はSNSでも行うなど、スピーディーな対応力も強みだ。今回も14~29日に登録祝いの新酒まつりとしてスタンプラリーを開催。期間中に三つの蔵を訪ねた人に記念品を贈呈している。

 会長の外池茂樹さん(65)は、栃木は「良い水と豊かな土壌で育った良いコメがあり、酒蔵独自の発酵技術で、多様性あるおいしい高品質な酒が生産されている」。栃木の酒の特長をひと言で表すのに苦慮しているといい、「栃木の酒はおいしい、というキャッチフレーズのような言葉を見つけたい」と意気込む。

 12月は本来、酒造りで多忙な時期だが、ユネスコ登録という好機を逃すまいという思いだ。醸したての新酒については、「出来たての味わいと香り。ちょっととがっている若さのようなものがある。冷やや常温で飲んでいただきたい」と語る。

 自社の「外池酒造店」は益子町の蔵元。益子焼の窯元や陶芸作家、農業者など、地域のいろいろな人たちとともに、良いものを発信していくのが会社としての理念だ。

 客を直接迎えるのも事業の柱で、仕込み水でいれたコーヒーや甘酒ソフトクリームが評判のカフェもある。益子焼やイチゴ狩りといった地域の観光と連携し、観光客を呼び込む「酒蔵ツーリズム」を広めたいという。

共有
Exit mobile version