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店頭に立つ「かめびし屋」の18代目岡田佳織さん=2024年10月8日午後0時18分、香川県東かわが市引田、福家司撮影

 香川県東かがわ市引田のしょうゆ蔵「かめびし屋」は、全国で唯一残る伝統の製法「むしろ麹法」を270年にわたって守り続ける。2021年には「讃岐の醤油(しょうゆ)醸造技術」として国の無形民俗文化財に登録された。なぜ今も古来の製法にこだわるのか。18代目の岡田佳織さん(56)に聞いた。

 ――「むしろ麹法」とは、現在主流の製法とどのように違うのですか

 しょうゆは現在は機械での製造が主流となっていますが、むしろ麹法は原料となる麹をむしろの上で寝かせ、人が3日3晩、寝ずの番をしながら管理して造ります。そうしてできた麹の酵素は分解する力が強く、できあがるもろみのうまみが増します。江戸時代、西日本で主流の製法だったのですが、手間がかかり、大量生産に向かないため、徐々にやめていくところが増え、現在も継承しているのは、かめびし屋だけになってしまいました。

 ――長期熟成も特徴ですね

 一般的なしょうゆメーカーは数カ月で製品ができあがりますが、かめびし屋ではもろみ蔵の木おけで少なくとも2年、長いものは20年以上熟成させます。蔵にすみついている230種以上の乳酸菌や微生物(かめびし菌)と四季折々の自然の力で、ゆっくりと素材のうまみが引き出されていきます。

 ――なぜ18代目を継いだのですか

 親の許しを得ずに結婚し、大…

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