6月3日朝、イランの首都テヘランの中心部に立つ内務省の高層ビル。パソコンが並んだ1階の部屋に、スーツ姿の男性たちが続々と入ってきた。ターバンを頭に巻いたイスラム法学者もいる。

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 28日に投開票される大統領選の立候補登録受け付けの会場だ。カメラを手に待ち受ける100人以上の報道陣の多くはイラン人の男性だ。その中から「ハーノメー!」という声が上がった。

 ペルシャ語で、女性に呼びかけるときの言葉だ。人権問題などに積極的とされる改革派の元国会議員、ハミデ・ザラバディ氏(43)だった。青と黄色のスカーフで頭髪を覆い、報道陣のリクエストに応じて自らの身分証を開いて見せた。

イラン大統領選の候補者登録に訪れ、報道陣の求めに応じて身分証を見せるハミデ・ザラバディ氏=2024年6月3日、テヘランの内務省、佐藤達弥撮影

 候補者は登録を済ませた後、隣接するホールで報道陣を前に演説する。演壇には70本近くのマイクが並んでいた。

 ザラバディ氏は緊張のためか、声が少し震えていた。「いつの日か、私の国から女性が大統領に選ばれることを願っています」

2024年版の「ジェンダーギャップ報告書」で146カ国中143位と最底辺に位置するイラン。記事後半では、女性が候補者として認められること自体が困難な大統領選になぜ挑むのか、当事者の思いを聞いています。

 世界経済フォーラムの202…

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