「atto(アト)」は10のマイナス18乗、「dose(ドウス)」は投薬を意味する。会社名の「アットドウス」には超微量を投薬するという意味が込められている。
アットドウス(横浜市旭区)代表取締役の中村秀剛(ひでのり)さん(52)たちが開発したデバイス「アットドウス・コア」は、超微量を投薬できる機器だ。
たとえば、抗がん剤治療では脱毛や吐き気などの副作用がつきものだが、患部に必要な分だけ投薬できれば、副作用を軽減できる。そんな狙いがあるという。
小さい頃からモノづくりが大好きで、小学生時代にプログラミングを始めた中村さん。就職した金型設計の企業で、丸一日かかる業務を5分に短縮する自動計算プログラムを組んで、社長に特技を見いだされ、プログラムの仕事を任されるようになった。
ならばいっそプログラミングを本職にしてしまおうと転職を決めた。システム開発などを経て、コンサルティング会社に転じた。
デバイスを開発したきっかけは、発明家の平藤衛さんとの出会いだった。打ち合わせの場で平藤さんが「実は抗がん剤の副作用ってなくせるんですよ」ともらした。
「治療と日々の生活、両立できないか」
中村さんの義父はがんで他界…