仮設住宅で一人暮らしをしている松本ミサさん=2024年6月23日午後5時23分、石川県穴水町、金居達朗撮影
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 能登半島地震は1日で発生から半年を迎える。全半壊の建物を自治体が取り壊す公費解体は進んでおらず、道路の通行止めや断水も解消されていない。避難所から仮設住宅に移る被災者は増えており、生活の再建に向けて第一歩を踏み出している。仮設住宅の入居は、元のコミュニティーを維持する対応が取られている。

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 101歳の松本ミサさんは、仮設住宅で一人暮らしをしている。能登半島地震で大きな被害を受けた石川県穴水町にある「甲(かぶと)第1団地」だ。

 「かわいがってくれた人たちにお礼を言って死にたい。頼む、甲に帰してくれ」。地震で自宅が全壊し、福井の長男宅で避難を続けていたが、甲地区に仮設住宅ができると聞き、息子たちを説得して、5月に入居した。

 住み慣れた場所に戻ることを望んだ理由は、もう一つある。

 被災前まで自分でしていた食事の用意や身の回りのことは、長男宅にいると、家族がやってくれる。周囲の道が分からないため、日課だった散歩にも出づらくなり、足が動きにくくなった、と感じていたからだ。

 甲地区で生まれ、17歳の時に隣の集落の夫と結婚。67歳で死に別れて一人になったが、88歳まで田畑を耕し、これまで福祉施設を利用したことがないほど元気だった。

 石川県内では仮設住宅が9市町に計6810戸建設される。市町は元のコミュニティーを維持するため、地区単位で入居できるようにした。

阪神大震災ではコミュニティー分断

 この対応は、過去の大災害を…

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