肌に見立てた面に何も塗らないと蚊は0.22秒で吸血の体勢に入ったが(左)、シリコーンオイルを塗ると、蚊は0.04秒で飛び立った=花王撮影

 夕暮れ時の散歩が気持ちよい季節。だが気がかりなのは蚊の存在だ。デング熱やマラリアといった怖い病気を運ぶ厄介者でもある。蚊の行動観察に特化した装置があると聞き、埼玉県和光市の理化学研究所を訪ねた。

 知覚神経回路機構研究チームの風間北斗チームリーダー(46)の実験室の一角には蚊帳がつられている。中に入る黒い箱が、仮想空間を使った初の蚊の観察装置。「仮想」というのは装置の中を蚊が実際に飛ぶことは無いからだ。

蚊の行動を観察する仮想空間の装置。中央の棒の先端にヒトスジシマカが固定されている=埼玉県和光市の理化学研究所

 装置の中央にヒトスジシマカ(通称ヤブ蚊)を固定し、羽だけを動かせるようにする。左右のマイクが羽音の音量や周波数を計測し、右側の音が大きければ蚊は左に向かって飛ぼうとしているなど、行動が解析できる。さらに蚊の前のLEDパネルは、左右に曲がるといった蚊の動きにあわせ、視界を動かし、飛んでいると錯覚させる。

「黒い服刺されやすい」通説は……仮想空間で見てみると

 LEDパネルの黒い部分を追…

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