写真・図版
兵庫県立大大学院特任教授の香取照幸さん=香取さん提供

 介護保険制度は利用者増により、今年度の介護費用は約13兆円に達しています。利用者負担や保険料の引き上げ、訪問介護の介護報酬削減など見直しも進んでいます。制度開始から25年。その評価や今後の向き合い方について、制度創設にかかわった元厚労官僚で兵庫県立大大学院特任教授の香取照幸さんに聞きました。

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 厚生省(現厚生労働省)の官僚として、介護保険制度の創設に携わりました。介護サービス利用者は、当初の約180万人から約600万人まで増え、今や国民にとってなくてはならない制度です。一方、介護費用の総額は、年4兆円程度から24年度予算では約13兆円になり3倍を超えました。

 介護保険の財源は、公費と保険料が1:1で構成され、被保険者は65歳以上の「1号被保険者」と40歳から64歳の「2号被保険者」に分かれます。1人当たりでみた保険料の負担は1、2号とも同じになるよう設定されています。決して「高齢者優遇」の仕組みではありません。1号の保険料の全国平均額は昨年4月には月6225円となり「安い」とは言いませんが、所得に応じ細かく設定され、仕組みとしてはよくできていると思います。要介護度別の利用者負担の限度額を超える人は少なく、給付水準も諸外国と比べても高いといえます。

 介護保険は高齢化が進んで…

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