カブスの今永昇太=AP
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 大リーグ・カブスの左腕今永昇太(30)が、新天地でロケットスタートを切っている。

 今季9度目の先発となった18日(日本時間19日)にあった本拠でのパイレーツ戦。7回を被安打4、7奪三振で無失点に抑えた。登板後の防御率は「0.84」と目を疑うような数字になった。

 大リーグ公式サイトによると、防御率が統計されるようになった1913年以降で、先発で短いイニングを投げる役割の「オープナー」をのぞくと、デビューから9度の先発登板では最も低い防御率となった。

 それまでの記録は、81年にドジャースのバレンズエラが記録した「0.91」だったという。

 バレンズエラはこの年、史上初めて新人王とサイ・ヤング賞を同時受賞した左腕。それを上回る快記録に、カブスのカウンセル監督は「この領域に入り始めると少し驚き」と話している。

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 日本時間25日午前9時15分試合開始の、敵地でのカージナルス戦で、今季10度目の先発マウンドに上がる予定だ。

 今永の投球の軸となっているのはフォーシームだ。

 大リーグの解析システム「スタットキャスト」によると、全投球のうち58.2%を占めている。

 今永のフォーシームは、投手の特定の球種がどれほどの得点期待値を減らしたかを評価する「ピッチランバリュー」で、解析の対象となった全1469通りの球種の中でトップに輝いている。

 つまり、今季の大リーグで最も相手の得点を防いでいる「魔球」といえる。

 今永のフォーシームの平均球速は92マイル(約148.1キロ)で、今季500球以上を投げている投手の中では128人中90位。

 決してスピードが秀でているわけではないが、23.3%と高い確率で空振りをとれている。

 その秘密は回転数の多さにある。平均で毎分2439回転と、今季500球以上を投げている投手の中では128人中18位に入ってくる。(データはいずれも20日現在)

 「ホップ成分がすごく高くて、上にポンって。やっぱり球質が、他の人とは違うものがありますね」

 そう証言するのは、横浜DeNAベイスターズで長年バッテリーを組んできた捕手の戸柱恭孝(34)だ。昨季も17試合でエース今永の球を受けた。

 戸柱と今永は同期入団。今永の渡米直前にも球を受けたといい、海を渡ってからもよく連絡を取り合っている間柄だ。

 「なんでそんなに空振りとれ…

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