
三重県鳥羽市の鳥羽港の岸壁近くに、野生のスナメリが居着いている。今年は数が多いとみられ、鳥羽港を拠点とする伊勢湾フェリーは、「ご乗船の際はスナメリウォッチングをお楽しみください」とPRしている。
「ほら、あそこ」「見えた!」。出港するフェリーのデッキに乗客たちが集まり、時折、歓声を上げながら、海面に目を凝らしていた。白い体が海面に浮かび上がる。イルカの仲間、スナメリだ。今月3日には2頭が泳ぐ様子が見えた。
伊勢湾フェリーによると、スナメリは毎年1~4月にやって来て、今年は1月17日から見られるようになった。同社業務部は「これだけ頻繁に見られるのはまれ」。ターミナルの2階や停泊中のフェリーといった撮影スポットからの優雅に泳ぐ写真をホームページに掲載している。
2015年から2年間現地を調査した鳥羽水族館(同市)によると、港と約600メートル先の離島・坂手島との間で、年によって多い時には20頭くらい確認できるという。
同館の若林郁夫・飼育研究部長は「スナメリは冬から春にかけて、岸壁近くや川の河口で餌を探す習性がある。今年は当たり年というか、数が多いようだ。環境の変化や気候変動など、様々な要因が考えられるため、今後もスナメリとその生息環境の動向を観察していきたい」と話している。