在留資格はないままだが試験の勉強を続ける10代の女性=2024年9月8日、埼玉県川口市、浅倉拓也撮影

 親の超過滞在などで、日本で生まれ育ちながら強制送還の対象となった子どもについて、出入国在留管理庁が8割超にあたる212人に在留許可を出した。しかし、同様の境遇ながら救済されていない子がいる。「子に責任はない」という人道上の特例措置が明暗を分け、動揺が広がっている。

進学目指してバイトで貯金「めっちゃいいですね」

 「アルバイトは何をしよう、どこへ遊びに行こうと、しばらくは毎日ワクワクしていました」。西日本に住む高校生の1人は昨年末、南アジア出身の両親と一緒に在留特別許可(在特)が認められ、目の前が明るくなった。

 それまでは入管による拘束を一時的に解かれる「仮放免」という立場だった。就労や無許可で居住地を出ることはできない。事情は友人に話せず、遠出やお金のかかる遊びの計画があると、話を合わせつつ、言い訳を考え断っていた。

 いまは放課後や休日にバイトをし、友人と初めて旅行もした。大学へ行くため貯金もするという。「経済的に大学は厳しいと思っていたけど、自分で稼いで使えるって、めっちゃいいですね」

 昨年成立した改正入管難民法は、難民認定の申請中でも3回目以降の場合は送還可能とした。一方で、送還対象となりうる子ども263人のうち、212人には在特を出した。ただし、帰国した子を除く40人は「就学年齢に達していない」(26人)「親に看過できない事情がある」(14人)として認めなかった。

 埼玉県南部に住むトルコ出身の家族は、日本生まれの小学生がいるにもかかわらず、今回在特の対象とはならなかった。

 祖国で少数派のクルド人。差…

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