鉄道開業150年のヘッドマークをつけて走る「SLもおか」=2022年10月16日、茨城県筑西市折本の折本駅、河合博司撮影

 栃木県茂木町と茨城県筑西市を結ぶ真岡鉄道(栃木県真岡市)で、50代の男性運転士が4月、乗務前の呼気検査で基準値を超えるアルコールが検出されたのにSL観光列車を運転していたことがわかった。検査をした40代の男性運転指令も虚偽の数字を記録していた。同社は今後、処分を検討する委員会を開き、2人や責任者を懲戒処分にする方針だ。

 同社によると、国土交通省が定めるアルコールの基準値は呼気1リットル当たり0.09ミリグラム。これ以上だと運転業務はできない。ただ、同社は内規でさらに厳しい0.05ミリグラムと定めている。

 運転士が基準値を超える状態で運転したのは鉄道ファンに人気の「SLもおか」。4月20日午前8時ごろ、運転指令と相互にアルコール検査をし、1回目に0.24ミリグラム、2回目も0.18ミリグラムといずれも基準値を超えた。この場合、内規では3回目を行わなければならないが、実施せず、運転指令が記録簿に0.00ミリグラムと記載した。運転士のにおいや顔色から、問題ないと判断したという。

 運転士はこの日、SLを運転し、下館駅(茨城県筑西市)と茂木駅(茂木町)間を往復した。内部調査には、前日午後8時ごろまでに350ミリリットルの缶ビール4本を飲んだと答えたが、基準値超のアルコールが検出されたことについては「マウスウォッシュ(洗口液)を使ったため」などと説明したという。2人は同じ部署の所属で、運転士が上司だった。

 6月5日に同社に匿名の情報提供があり発覚した。上野公男専務は取材に「お客様を乗せる公共交通機関で、重大な違反だと認識している。大変申し訳なく思うとともに、このようなことが起きない体制づくりを考えていく」と話した。(津布楽洋一)

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