レッツ・スタディー!経済編㉖ 「利上げ」私たちに影響は?
投資漫画「インベスターZ」にNMB48の安部若菜さん(22)、松岡さくらさん(21)、早川夢菜さん(21)が入り込み、経済を学ぶ連載。今回のテーマは「金利」です。早川さんは6月15日にNMB48を「卒業」したため、登場は今回がラスト。卒業を控えた早川さんと、インベスターZの登場人物、安部さん、松岡さんが語り合います。(構成・阪本輝昭)
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選ぶのは変動金利?固定金利? 私なら…(安部若菜さん)
あべ・わかな 2001年生まれ。愛称わかぽん。小説「アイドル失格」著者。同作は24年にドラマ化。
安部若菜「ゆななん、寂しいよ。本当に卒業してしまうなんて」
早川夢菜「私もです。でも、私には一人のアーティストとして立つ夢もずっとあって。大学卒業を来春に控え、今がタイミングかなと」
松岡さくら「もう会えないんですか?」
早川「そんなことないよ! でも、大好きな皆にすぐ会っちゃうと決意が鈍る気もするから……。私がいっぱしの存在になれたらね」
松岡「いっぱしの存在っていつですか?」
早川「えっ、うーん。家を建てられるくらいビッグになれたら……かなぁ?(笑)」
松岡「それって何年後の話ですか!?」
安部「家、ねえ……。憧れだなぁ。私、緑豊かな場所に縁側のついた一軒家を買って、そこでのんびり暮らすのが夢なんだけどさ」
早川「素敵ですね! 縁側のある暮らし」
はやかわ・ゆな 02年生まれ。愛称ゆななん。今月15日にNMB48を「卒業」。
安部「30代半ばくらいまでには自分に合う土地を絞り込んで、物件を決めたいなって」
松岡「先輩、さすが夢が具体的ですね。私はのどかな街に住んでいるので、逆に都会のど真ん中の駅チカ物件に憧れがあります」
早川「家といえば、住宅ローンの金利が上がるかもってニュースで言っていましたね」
安部「それよ、それ。変動金利か、固定金利か……。今すぐ買うわけじゃないけど、悩ましいところだよね」
財前孝史(道塾学園投資部員)「日本銀行が17年ぶりの利上げに踏み切ったニュースですね。変動型は住宅ローン利用者の7割を占めているそうです。利上げが自分の負担増につながっていくのか、気になる人も多いでしょうね」
安部「私たち世代って、ずっと低金利時代を生きてきたから、金利が高くなる未来が想像しづらいんですよね。なので、私が今の時点で選ぶとするなら、まだ変動型かなぁ」
預金金利は上昇…それなら利上げも悪くない?(松岡さくらさん)
まつおか・さくら 03年生まれ。愛称さくら、さくぱん。6月24日に21歳の誕生日を迎えた。
松岡「そういえば私、これまでにもらったお年玉を定期預金として銀行に預けているんです。利息といっても本当に微々たる額で。金利って低いものという思考がしみついています」
財前「でも、利上げを受けて早速、都市銀行や地方銀行の一部が定期預金や普通預金の金利を引き上げると発表していましたよね」
松岡「えっ、そうなんですか。それなら、利上げも悪くないです」
安部「でも、私のように株式投資をしている人たちにとってはおおごとだよ。利上げ」
松岡「何でですか」
利上げ・利下げと株価の値動きに関係性(安部若菜さん)
安部「一般的には、金利が上がったら企業の株価は下がり、金利が下がったら株価は押し上げられるという関係にあるからね」
神代圭介(投資部主将)「金利が上がると、企業は借金をしてまで新たな事業や設備投資をしようという気がそがれる。そうして企業活動が縮小されると、株価も影響を受けてしまう」
安部「そう。だから中央銀行は利下げを景気のアクセル、利上げをブレーキのように使って、景気の状態を調節するわけ」
松岡「となると、利上げの影響でわかぽん先輩の持っている株も値下がりしちゃう可能性があるってことですね。どうするんですか?」
安部「いやいや、金利と株価の関係はあくまで一般論で、実際の株価は様々な要因も絡み合って決まるものだからね。それに、目先の上がり下がりに一喜一憂しないのが私のスタンスだから。見守るよ」
私も近々投資を始めたいと…(松岡さくらさん)
松岡「私も近々投資を始める予定なので、色々教えて下さい。ゆななん先輩は?」
早川「私はしないよ。投資ってなんかおっかないし、私には向かない気がする」
安部「私たちはみんな投資家だよ、ゆななんも」
早川「えっ。どういうことですか」
安部「人はみんな時間を何かに投資しながら生きている存在だと思うんだよね。私たちでいえば、青春の時間をアイドル活動に投資することを選んだ投資家同士ともいえるでしょ」
松岡「連載第2回でそう言ってましたね!」
アイドル活動に時間を投資して 私が得たもの(早川夢菜さん)
早川「確かに。リスクとリターンを見比べながら、時間を投資する先を選んでいますね」
松岡「アイドル活動が投資だとしたら、わかぽん先輩はどんなリターンを得ているんですか?」
安部「『アイドルでなければ得られなかった様々なチャンス』かなあ。小説の出版も、好きなゲームやアニメ関連の仕事も、落語の高座に上がる機会をもらったのも。本当に大きすぎるぐらいのリターンよ。さくぱんは?」
松岡「『向上心』ですね。アイドルになって初めて、自分がこんなに負けず嫌いで悔しがりだと知りました。私の場合、一大学生として過ごしていたら、こんなにも『もっと自分を磨こう、上をめざそう』とは多分思えなかった」
早川「私は『人との出会い』かなあ。ファンの方々との出会い、わかぽんさんやさくぱん、そしてメンバーみんなとの出会い。かけがえのないリターンをもらいました」
安部「出会い、確かにそれが最大のリターンかもなあ。ゆななんの新しい投資も応援してるよ。そこでも素敵な出会いがあるといいね」
松岡「私も応援しています!」
安部「卒業した渋谷凪咲さんから頂いた言葉をゆななんにも贈るよ。『自分の中に芯が通っている人は、時間がかかっても、どこに行っても必ず成功できる』。頑張ってね」
早川「うっ、うっ……(涙)」
松岡「わかぽん先輩、連載第24回でもその言葉を引用していましたね!」
安部「さくぱんの記憶力すごすぎない?」
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【解説】投資、物価、為替…利上げが及ぼす影響とは 宮宇地俊岳教授
金利とはお金を貸し借りする際に必要な見返りの大きさを示すレートのことで、金利水準の変動は、経済に様々な影響を与えます。
まず、企業や個人による投資への影響です。金利が下がるとお金を借りやすくなって投資が活発になり、企業は設備投資、個人は住宅投資(購入)をしやすくなります。金利が上がるとその逆となります。
また、金利が下がって投資が活発になると物価を上げる力が働き、金利が上がって投資が抑制されれば物価を押し下げます。
金利は為替にも影響します。お金は有利な投資先を求めて移動するので、例えば日本の金利が低く、米国の金利が高い場合は「円売り・ドル買い」が進み、円安が加速します。
日本銀行は金利水準のコントロールを通じて、物価安定化などに取り組んでいます。
金利には短期金利と長期金利があります。短期金利とは、主に金融機関同士で短期の貸し借りをする際に適用される金利のこと。この短期金利の水準は、日銀が政策金利として決定しており、金融機関が企業や個人に貸し出す際の金利水準にも影響します。日銀は3月、17年ぶりに短期金利の利上げに踏み切り、「マイナス金利政策」を解除しました。
長期金利は、取引期間が1年以上のお金の貸し借りに適用される金利のこと。「10年物国債」の利回りが目安になります。日銀はマイナス金利解除とともに、長期金利を低く抑え込む枠組みも撤廃することを決めました。
住宅ローンの変動金利は短期金利に、固定金利は長期金利にそれぞれ連動しており、一連の政策変更はローン金利を将来的に上昇させる可能性がある一方、銀行への預金金利を押し上げることもありえます。金利政策は個人の生活にも影響を及ぼすのです。
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