大学野球の関西学生春季リーグで、京大が躍進の予感を漂わせている。関西屈指の強豪リーグで、6校のうち唯一の国公立大。2001年春から19年春まで37季連続最下位だったこともあるが、今季は昨秋王者の関大から京大史上初の開幕2連勝で勝ち点を奪った。その背景にアナリスト(分析家)の存在がある。
「まさにハマったな、という感じです。データが示した通りでした」
そう喜んだのは、京大の学生コーチでアナリストの肩書を持つ工学部の赤尾栄士郎(4年)。米国生まれで、部内ではミドルネームの「ポール」と呼ばれている。「生まれてすぐ日本に来たから英語は話せない。数学は好き」。大学入学共通テストの数学I・数学Aと数学Ⅱ・数学Bの合計は200点満点中197点だった。
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赤尾が振り返った場面は、6日の関大との開幕戦。一回表、相手1番打者が放ったゴロは、投手の米倉涼太郎(3年)のすぐ横を通り、中前へ抜けるかに見えた。
だが、遊撃手の細見宙生(3年)が難なくさばいた。赤尾がデータから導き出した通り、あらかじめ二塁付近に寄っていたのだ。その後も打者ごとに大胆に守備位置を変え、ゴロで許したヒットは0本。1―0で守り勝った。
「自分は選手が自信を持ってプレーするための潤滑油にすぎない」。赤尾は自らの役割をそう語る。
京都の洛星中、高で野球部だったが、「選手としては燃え尽きた」。京大では1年生時、野球部に所属しなかった。2年生の春、洛星でチームメートだった米倉が1浪して京大に入ったことが転機になった。
当時の4年生に、部として初…