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運賃の値上げを申請した井原鉄道=倉敷市

 井原鉄道(岡山県井原市)が運賃の値上げを中国運輸局に申請した。上げ幅は平均18.0%で10月1日からの予定。新型コロナ禍による乗客減や燃料費高騰を理由としている。値上げが認可されれば消費税増税時を除き、1999年の開業以来初めてとなる。

 普通運賃が平均20.2%、通勤定期は20.0%、通学定期は10.0%の値上げとなる。普通運賃は40~220円上がり、3キロまでの初乗りが現行の210円から250円に。総社から神辺(広島県福山市)までの全線を乗り通す場合は、現行の1120円が1340円になる。総社―清音間は特定運賃を採用しているため現在の運賃を維持する。

 同社によると、2023年度の運賃収入は2億7200万円だった。現行運賃のままだと、26~28年度は平均で年間2億5500万円と予想。一方、値上げすれば3億100万円に改善すると見込んでいる。

 輸送人員は、最多となった15年度が115万人だったのに対し、23年度は97万人。同社は、コロナ禍で減った利用者の回復が進まないことに加え、沿線では少子高齢化に伴う人口減少が進んでいるとしている。28年度には82万6千人に落ち込むと予測している。

 同社は、ワンマン運転の導入や、駅の窓口社員をすべて契約社員に切り替えるなどして経費節減を進めてきた。しかし利用者の減少や燃料高騰を受け、現状の運賃水準では限界があるとし、値上げへの理解を求めている。

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