2008年北京五輪のレスリング男子フリースタイル55キロ級決勝で敗れ、マットに座り込む松永共広=林敏行撮影
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 滝島一統さん(47)にはかつて、決まってうんざりする時期があった。

 オリンピック(五輪)だ。

 大会期間中の2週間ほど、テレビがスポーツで一色になる。その極端さが好きではなかった。

 転機は2005年の冬だった。

 たまたま東京の体育館でフィギュアスケートを観戦することになった。

 「ザリッ」

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 選手がジャンプする時に、靴のエッジが氷を削る音だ。客席の後方まで聞こえてきた。

 「こんなに激しい競技なんだ」

 氷上で音に合わせて踊るだけ。それまで持っていたフィギュアスケートのイメージが覆され、心を揺さぶられた。

 翌年にはトリノ冬季五輪が控えていた。

 「大きな仕事を二つ片付けた…

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