滝島一統さん(47)にはかつて、決まってうんざりする時期があった。
オリンピック(五輪)だ。
大会期間中の2週間ほど、テレビがスポーツで一色になる。その極端さが好きではなかった。
転機は2005年の冬だった。
たまたま東京の体育館でフィギュアスケートを観戦することになった。
「ザリッ」
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選手がジャンプする時に、靴のエッジが氷を削る音だ。客席の後方まで聞こえてきた。
「こんなに激しい競技なんだ」
氷上で音に合わせて踊るだけ。それまで持っていたフィギュアスケートのイメージが覆され、心を揺さぶられた。
翌年にはトリノ冬季五輪が控えていた。
「大きな仕事を二つ片付けた…