東京大が値上げを検討したり、慶応義塾の塾長が「150万円に」と提言したり。にわかに国公立大の授業料が注目されている。誰がどのように高等教育の費用を負担すべきか。国公立・私立それぞれの大学の役割は。日本の大学のあり方に詳しい明治学院大の石原俊教授(社会学)に聞いた。

  • 慶応・伊藤塾長「国立大授業料150万円」真意は教育の質と補助充実
  • 「国立大、門戸狭めてはならない」学費値上げ、識者が抱く懸念

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 国は2004年度に国立大を法人化した後、国が国立大に配る運営費交付金を大幅に減らした。15年度までに減らされた額は1470億円に達し、総額の1割を超える。代わりに競争的資金を増やしたが、教職員の人件費や光熱費をまかなえずにいる大学も多く、研究や教育にも支障が出ている。国は本来は、運営費交付金の減額分を元に戻すべきだ。

 ただ、既に東京工業大や一橋大、東京芸術大、千葉大などの首都圏の有力国立大が授業料を値上げしている。今の交付金や物価上昇の水準が続くならば、東大の授業料値上げもやむを得ない選択だろう。国公立大の授業料を150万円に、という慶応義塾の伊藤公平塾長の提言も、2040年以降の大学のあり方を考える際に頭ごなしに否定すべきものではない。

 ただ、東大のような日本を代…

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