「立志式」で自分の名前を示しながら、込められた思いや将来の抱負を語る生徒たち=2025年1月27日、青森県弘前市の東奥義塾中学校、渡部耕平撮影

 中学生が自分の名前の由来を紹介しながら、将来の夢や目標を発表する「立志式」が27日、青森県弘前市の東奥義塾中学校であった。かつての成人式にあたる「元服」にちなみ、数え年で15歳になる2年生が参加。会場を訪れた父母らに、名前への感謝と未来に向けての抱負を語った。

 ステージに立ったのは、2年生の32人。1人ずつマイクに向かい、筆で清書した名前を見せながら、命名に込められた思いを紹介した。

 佐藤飛夢香(ひむか)さんは「私の名前には『夢を持って、自由にどこまでも進んでいけるように』という願いが込められています。名前の通り、夢に向かっていきたい」と誓った。

 あこがれは、プロのギタリスト。歌手のバックで演奏するミュージシャンを夢見ている。「アーティストを引き立たせるような演奏をしたい」と思い描き、休日は8時間の練習に励んでいる。

 佐藤さんは取材に、「みんなに愛され、必要とされるミュージシャンになりたい。誇らしい名前に沿うように、頑張りたいです」と笑顔で語った。

 柿崎泰良(たいら)さんは「両親が『安泰で、良い人生を送るように』と願って名付けてくれました」と話した。

 由来を知った当初は「何もなさそうな人生で、つまらないな」と思った。だが、よく考えるうちに、両親への感謝の気持ちが芽生えてきたという。

 将来の目標については、「歴史学者になることです」と力強く言った。研究したいのは江戸時代。「世界でも類を見ないほど、長く平和な時代を築いたからです」と取材に答えた。

 特に、8代将軍の徳川吉宗に関心を持っている。享保の改革で知られる吉宗は、将軍に提言できる「目安箱」を置き、庶民の意見を政策に生かした。

 柿崎さんは歴史を学ぶうち、平穏な暮らしを守ることの大切さを感じるようになった。

 「世界の情勢を見ると、国民の声を聴こうとしない政治家や独裁者のいる国が、戦争や情報操作などの問題を起こしているように思います」

 柿崎さんは、自分の名前に重ね合わせて考える。「悪いことが起きないというだけでも、ありがたいこと。歴史に名を残すような生き方でなくてもいい。名前のように、安泰な人生をまっとうできたらいいなと思います」

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