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中国では太陽光発電所が増えている。2023年の1年間に中国で設置されたソーラーパネルの総数は、米国でこれまでに設置された累計を上回る=ニューヨーク・タイムズ

Why the Era of China’s Soaring Carbon Emissions Might Be Ending

 過去20年のほとんどの期間で世界最大の温室効果ガス排出国だった中国の排出量が、長年続いた「急成長」から、まもなく増減のない安定した状態[a flat plateau]に入る見通しだ。

 気候変動にもたらすその影響は、計り知れないほど大きい可能性がある。中国の排出量は、2006年に米国を抜いて以降、世界の排出量のほぼ3分の1に達していた。人口の違いを考慮しても、非常に大きな数字だ。

 中国政府が最近発表したさまざまなデータやエネルギー問題の専門家による報告書は、中国の排出量が大幅に減少することはないかもしれないものの、増加することもない、という明るい兆候を示している。中国の習近平(シーチンピン)国家主席は、30年までに(上昇トレンドからの)転換を実現すると公約している。

 「理解すべき重要なポイントは、中国の排出量の増加が止まれば、世界の排出量の増加も止まる可能性が高いということだ」と、環境・エネルギー分野の英シンクタンク「エンバー(Ember)」でグローバル・インサイト・ディレクターを務めるデーブ・ジョーンズ氏は指摘する。

 排出量の減少をもたらしている最大の要因は、中国の発電方法の変化だ。簡単に言えば、再生可能エネルギーが、最も空気を汚す化石燃料である石炭に取って代わりつつあるということだ。

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

石炭火力発電から、ほかの電源へのシフトが進んでいる面は確かにありそうです。その一方、不動産市場の冷え込みにより、CO2の排出が一時的に落ち込んでいる可能性を指摘する識者もいます。

 23年の1年間だけをとって…

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