
北京で開かれている全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせて、中国の経済官庁や金融当局のトップらは6日、記者会見を開き、注力している人工知能(AI)やロボットなどの科学イノベーション分野への融資を拡大する方針を明らかにした。
中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は「科学技術イノベーションと技術改善への再貸出の規模をさらに拡大する」と語り、現在の5千億元(約10兆円)から最大1兆元まで拡大すると明らかにした。人民銀が商業銀行に低金利で資金を供給し、商業銀行から企業へ貸し出す。
米国の半導体分野などでの対中輸出規制やハイテク産業をめぐる競争を背景に、中国はAIなどの科学技術分野での「自立自強」を進めている。昨日公表された今年の政策方針を示す政府活動報告でも、そうした方針が強く打ち出されていた。
また、この日の会見では、藍仏安財務相が「内外の不確実性に対処するため、中央財政も十分な手段と政策的な余地を確保している」と語り、トランプ関税で中国経済の先行きに不透明感が増す中、必要に応じて更なる財政出動の準備があることを示唆した。