万葉集の一場面を描いた作品などが並ぶ近現代日本画のコーナー=2025年1月17日、奈良市登大路町、今井邦彦撮影

 多くの絵師、画家たちを刺激してきた奈良の魅力を紹介する特別展「大和の美 古都を彩った絵師たちの競演」が、奈良市登大路町の奈良県立美術館で開かれている。中世から現代までの大和(現在の奈良県)で描かれた絵画作品が並ぶ。

 展示の序章では、都として大和で国際的な文化が花開いた飛鳥~奈良時代を、高松塚古墳壁画や法隆寺金堂壁画の模写、正倉院宝物を描いた近代絵画などで振り返る。

 続く中世のコーナーでは、鎌倉~室町時代の寺社文化を支えた絵画工房「南都絵所(えどころ)」で描かれた「東大寺縁起絵巻」や春日大社奉納の絵馬など、信仰と強く結びついた南都の美術を紹介する。

 近世のコーナーには、郡山藩士だった文人画家の柳沢淇園(きえん)や、薬師寺などで活躍した画僧の古磵(こかん)の作品、大和の名所旧跡を題材にした作品などが並ぶ。近現代は日本画と洋画の2本立てで構成。上村淳之、絹谷幸二ら奈良ゆかりの画家の作品や、著名な画家が奈良を描いた作品を展示した。

 明治~大正期に活躍し、今年没後100年を迎えた洋画家・大村長府(1870~1925)の作品は、特集展示として10点を陳列。担当の松川綾子・指導学芸員は「春日大社の祭礼や東大寺のお水取りなど、奈良の歳時をテーマにした作品を数多く残した作家。多くの人に知ってもらえれば」と話している。

 3月9日まで、午前9時~午後5時(入館は4時半まで)。月曜日(2月24日、3月3日を除く)と2月25日休館。観覧料は一般800円、高校・大学生600円、小中学生400円。問い合わせは同館(0742・23・3968)へ。

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