天皇、皇后両陛下は17日、9月の豪雨で甚大な被害を受けた石川県輪島市を日帰りで訪れた。両陛下は年初に発生した能登半島地震の被災者を見舞うため、今春にも2度、能登半島の4市町を訪れており、今回が3度目。
同県輪島市は9月の豪雨で11人が亡くなり、現在も市内13カ所の避難所で256人が避難生活を余儀なくされている。両陛下はこのうち、30世帯51人が身を寄せる輪島市立輪島中学校の施設を訪問し、被災者一人一人に「お大事に」などと言葉をかけた。
地震で自宅が全壊し、半年後に入居がかなった仮設住宅も浸水被害に遭って2度目の避難所生活を余儀なくされている吉岡久美子さん(70)は「親から受け継いだものも全てなくなって、心に穴が開いたような状態」と打ち明けた。両陛下は「おつらかったですね」といたわった。市中泰雄さん(86)、邦子さん(82)夫妻には皇后さまが「お体にお気をつけて」と伝えた。泰雄さんは取材に、「お二人とも優しい目だった。輪島塗りのいち職人としてまだ頑張っていきたい」と話した。その後、災害対応にあたった警察、自衛隊、消防の地元責任者とも面会し、当時の苦労話に耳を傾け、尽力をねぎらった。
これに先立ち、塚田川が氾濫(はんらん)して複数の住宅が流された久手川地区にも足を運んだ。災害発生から3カ月が経とうとする現在も、つぶれた車や壊れた家屋などが残る。両陛下は、同地区で4人が亡くなったことなどの説明に沈痛な表情で聞き入り、その後、辺りを見渡せる方角に体を向け、深々と頭を下げた。市長によると、両陛下は亡くなった人々を悼み、女子中学生が自宅ごと流されて犠牲になったことについても皇后さまから「残念な痛ましいことだった」という趣旨の言葉があったという。