
実業家のイーロン・マスク氏が立ち上げた米宇宙企業スペースXが開発する世界最大のロケット「スターシップ」(全長約120メートル)。その打ち上げ拠点「スターベース」(テキサス州)周辺が観光地の様相を呈している。他の発射場とは違い、宇宙開発の最前線を間近で見られる「穴場」のようだ。
メキシコとの国境の街ブラウンズビルから東岸のボカチカ・ビーチへと続く州道4号線。見渡す限りの湿原に囲まれた一本道を車で30分ほど走ると、高層の建物らしきものが集まるエリアが現れる。さらに近づくと、それが巨大なロケットや組み立て工場だとわかった。
「STARBASE」。黒い外壁に白塗りでロゴが書かれた施設がスターシップの開発拠点で、その先に発射場がある。米専門誌によると広さは40ヘクタールほど。東京ディズニーランドより一回り小さいくらいだ。
敷地内には入れないが、展示されている旧型の宇宙船は外からでも見学できる。警備員に「宇宙船の写真を撮っていいか」と声をかけると「もちろんだ。ここは自由の国なんだから」と返ってきた。ただ敷地境界のセキュリティーは厳しい。
観光客は訪れるが、公共トイレや売店はない。スペースXは「ここには従業員らのための飲食しかない。食事をしたいなら雇います」と掲示。同社の求人サイトを紹介している。
発射場の周辺は州立公園やビーチで、誰でも入れる。ロケット打ち上げの規制がかかる前なら、砂浜を歩いて発射台まで数百メートルの距離に近づける。
■打ち上げ直前のロケットと記…