森奈良漬店の「瓜奈良漬」(右)と「大和三尺胡瓜奈良漬」=伊藤進之介撮影

 奈良発祥とされる漬物「奈良漬」。ご飯に添えるだけでなく、ソフトクリームやピザなど多彩な味わい方も魅力だ。伝統を守りつつ、地味なイメージから脱却しようという試みが始まっている。

 シカが行き来する東大寺(奈良市)の南大門近くの参道に、創業150年超の老舗「森奈良漬店」がある。定番のウリやすもも、奈良県の伝統野菜「大和三尺きゅうり」の奈良漬が店頭に並び、修学旅行生や訪日外国人でにぎわう。5代目の森麻理子社長(44)は「奈良の人々が守り育んだからこそ今も残っている」とほほ笑む。

 奈良漬は、ウリやキュウリなどの野菜を塩漬けにした後、酒かすに何度もつけて1~3年ほどかけて作り上げる発酵食品だ。酒かすの芳醇(ほうじゅん)な香りと甘み、コリッとした歯ごたえがある。焦げ茶色で地味な見た目だが、滋味深く、癖になる味だ。

 最古の記録として、奈良時代…

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